片目が痛むときは
体を丸めて
見える片目を固く閉じていた
紅 を視る
「それには触ってくれるな、愛しい姫」
少し不機嫌そうに、若サマがロゼの手を掴んだ
「お言葉ですが、着替えを手伝えと仰ったのは貴方様です」
掴まれた手を振り払い、もう1度彼の眼帯に手を伸ばす
「駄目だ」
今度は先程より強い力で
伸ばした手を掴まれた
「まったく・・・・」
普段と違って真面目な雰囲気に拍子抜けしたロゼは首を振って、小さくため息を吐いた
(今でも、思い出す)
あの紅
片目を失って間もなく
幼いにいながらも必死に痛みと闘っていたあの頃
見えないはずの片目に
何かが視えた
(あれは、間違いなく)
燃えるような紅が視えた
己の血かとも思ったが
今思えば、あれは
「そんな残念そうな顔するなよ。他の所ならいくらでも触らせてやるから」
「な・・・っ!
このバカ!!」
彼女との出逢いの、紅だった
彼女に似合う、紅だった
「見たって何の得もないぜ?」
「見せてもらえないのに損得なんて分かりません
それにわたしは貴方が嫌がることなら、何でもします」
「それもそう、か
あぁ、お前は知らなくていいさ」
(この目に何が視えたか、なんて)
「・・・・?」
「まぁ、どうでもいい話だ」
あの時から紅が焼き付いて離れない
紅、それは運命の色
炎と血の海の、記憶
・・・・・・・・・
久しぶりの更新です(汗
幻蝶のロゼ←イウ゛ァンで
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