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夢は尽きる事なく、永遠に
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2025/09/08 (Mon)

頭の中を響き渡る声に、目眩と吐き気を覚える。
視界の全てが紅く染まり、無意識に屈んで小さく身体を縮めると、嫌でも紅い花が目に入ってきた。
それと、誰かの声が。


「いや・・嫌、い・・やぁ・・・」


耳を、目を、感覚を断ち切っても、ソレは脳に焼き付いて離れない。
御免なさい、と必死に謝る声。
何度も何度も、聞いてるこっちが狂ってしまいそうなほど悲痛な声で。
闇の中に在る、無数の屍に向って誰かが泣きながら謝っている。
その中でも一際目立つ『』が何故か無性に恐かった。悲しかった。
聞きたくない。見たくない。こんなの知らない。
消えて欲しいのに、消えてくれない。


「嫌………嫌…嫌、嫌、嫌ッ――」


もう苦しめないで、赦して、殺してよ・・・


「御免なさい・・御免なさい・・・・御免なさい」


いつの間にか紗羅の口が動いている。
花に埋もれながら、必死に謝罪の言葉を繰り返す。
焼き付いた記憶はどんな楽しい記憶より、辛い思い出より、鮮明に傷を作り、深く深く刻み込んでくる。


「・・・何で、苦しむんだ?」

「--あ・・・・・たすけ、・・・・・」


腕を伸ばして縋る、最も愛しい人。



助けて。タスケテ。たすけて・・・



「消えない、解らない・・・!!―――もぅ、や・・・どうしてわたしが・・・」


どうして大嫌いな『』に懐かしさと、愛しさを感じるのか。
何故築き上げられた屍の山に謝罪を繰り返すのか。

聞こえてくる声が、自分のものである理由を。

ねぇお願い、愛しい人。
この記憶を消して、わたしをい世界から救ってよ。







夜中に恋人の呼吸が乱れ、過呼吸になる理由。
それはあの悪夢のせいだ。
いや、その悪夢は俺のせい。


「sorry、紗羅。俺のせいだ、俺があの時お前を壊したから・・・・っ」


俺だけが覚えている、記憶。
人の命を奪って生きる事が当然だった、あの時代の。


「・・・それでもやっぱり、俺はお前を・・・」





愛する事しか、できないんだ!!!










続きます。次は伊達の独白のカタチで。











 

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2009/03/23 (Mon) 短編 Comment(0)
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