手を伸ばす
指が触れる
あと少し
もう少し
届かせたい
掴みたい
何を
どうして
求めているの
「ちっ」
「あ、お早う御座います。今ちょうど起こしに行こうとしたところですよ」
リビングに出てみると
テーブルに並べられた美味しそうな朝食と
愛しい人の笑顔が出迎えてくれた
「嫌な夢見た」
「・・それは残念な初夢でしたね」
「ったく・・・。
やっぱ昨日お前を抱いて寝れば良かったぜ」
「寝言は寝て言ってくださいね。
さ、早く食べないと冷めちゃいます」
「あぁ」
連れない彼女に苦笑が漏れる
「そういえば、私の初夢は、みんなでどんちゃん騒ぎしてました。幸兄の家で」
「それは現実的だな」
「えぇ。政宗様の夢は現実に起こらないといいですね」
「全くだ」
だってあの夢は
俺の過去
もう二度と繰り返さないと誓ったんだ
(絶対手放さない)