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夢は尽きる事なく、永遠に
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2025/09/09 (Tue)
名前を呼ばれた気がした
有り得ない、のに





「・・まさむね、さま?」

どうして
どうして

貴方が紅を纏っておられるのですか

それはわたしの色なのに


「貴方には似合いませんよ、ですから、早く」


あの爽快な蒼を背負って、私を導いてください


「政宗さま
返事を、して・・・」





ねぇ、名前を呼んで
愛しい人
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2008/09/22 (Mon) 短編 Comment(0)
もう一度聞かせてよ
君の言葉で





「覚えてないの?」

「なんの、事・・・?」


貴女の言葉が
私を繋いでいるのに
忘れてしまったの?


「心に刻まれてるはずだよ」


あの日の、あの言葉
その唇でまた 私を酔わせてみせて


「覚えてないわよ、佐助っ・・・!」


嗚呼、怯えた顔も美しく
愛しいとさえ思える


「ねぇ、言ってよ 紗羅」


自分だけ覚えてるなんて、不公平じゃないか


「本当に、覚えてないのよっ」

「怖いの?
可愛いね、そんなところも」


身体を震わせ
恐怖に瞳を彩らせながら、見上げてくる


「どうしても、聞きたいんだ」



終焉の告白を



(さよなら、愛してる
泣き顔が今も脳裏に焼き付いて、離れてくれないんだ)
2008/09/18 (Thu) 短編 Comment(0)
何度も何度も
その名を呼んで


手を伸ばすのに


君はどうして
遠ざかる?





「忘れてください」


隣に居たという事実を


「政宗さま」


貴方の記憶から
消し去って



「忘れてたまるか」


共に在ったことを
幸せだったあの日々を


「俺は絶対忘れない」


愛した君のこと、総て
魂に刻み付けて



だからこそ
忘れてほしいのに
2008/09/18 (Thu) 短編 Comment(0)
一番最初に教わったのは、表情だった




「どうしてお前は笑わぬのだ」

「・・・兄様?」

「まるで佐助のようだ」


それは出会って間もないころ


「・・って、兄様に言われて落ち込んだっけ」

「あー、そんなこともあったね
姫さんが俺に泣き付いてきて、旦那は不貞腐れちゃったんだっけ?」

「な、泣き付いてなんか!」

「可愛かったなぁ、」

「佐助っ!!」

「はいはい
・・俺もさ、旦那の前だと偽れないんだよね」

「佐助でも無理なの?」

「何ていうか、旦那はそういう事に鋭いんだよねぇ」

「本当に、ね・・
隠しても、すぐばれちゃう」

「でしょ?」

「それでもやっぱり、隠さなきゃいけないこともあるから」

「うん」


積み上げられた屍や、血に塗れたこの身体とか



「 、偶に笑えればいいわよね」


あの人の前で
忘れてしまわぬように



一番最初の笑顔は、貴方に
2008/09/05 (Fri) 短編 Comment(0)
さらり、と
手から零れていく





「・・あの、」

「やだ」

「・・まだ何も言ってませんよ」

「髪を放せ、って言うんだろ?
お断わりだな」

「はぁ・・・」


闇を凝縮したような、長い髪


「・・まだ、伸ばすのか」

「いいえ、でも
痛んだところは佐助に切ってもらっているので、長さは変わりませんよ」


成る程、たしかに毛先まで手入れが行き届いている

あの世話好き野郎め、と心中で舌打ちしてから、すっと紐を解いた


「政宗さま?」


はらりと髪が広がる


「緩んでたから、直してやるんだよ」


一本一本が細く、絹のような肌触り
一房持ち上げて、口付けてみた


「?
食べても美味しくないと思いますよ?」

「・・・馬鹿」


唇だと怒るくせに、どうしてそんな天然の反応をみせるんだ、と
本気でこいつの『破廉恥』の基準を聞いてみたくなったが、ぐっと堪える

それよりも

今は目の前にある華を愛でるべきだ

その目も、声も、身体も、心も、

すべて


きつく縛った


「出来たぜ、紗羅」



全部、手に入れてみせる
手放したりなんか、してやらないんだからな!





後半ぐたぐた
ずびまぜん←
2008/09/02 (Tue) 短編 Comment(0)
速やかに堕ちていくのは、だぁれ?




「紗羅、あなたは何も見てないわ」

「でも、ははさま・・人がっ・・・!」


手で目を覆ってやった
微かに身体が震えている
どうやら、泣いているらしい


「なぁんにも、見てないわよ?」


当たり一面に撒かれた血の華
むせ返るような血臭


「 は、はは様っ!」

「ほら、紗羅は寝てなさい」


武器に付いた血を早く拭わなければ
錆びてしまったら、使えない


「さぁ、部屋に戻って」


それに、此等の後片付けもしなくては


「紗羅、わたしの愛しい子。
あなたは何にも見てない」


これは呪
何度も繰り返して、優しく抱き締めて
すべて無かったことにしてあげるから

しばらくして、身体から力が抜けた


「お休み、愛し子」



貴女はこれからなんだから!!
まだ、知らなくていいの
2008/09/01 (Mon) 短編 Comment(0)
許さない
認めない


なにがなんでも
守ってあげる





「・・駄目よ」

目の前に紅い華が咲いた

「貴方では、駄目」

風かと見間違える程 鮮やかな影
その正体は


「・・っ紗羅・・・」


ぴたりと動きが止まる

戦装束は血に塗れ
その瞳に
殺意を宿して

振り返ることなく
敵に刄を突き付ける


「ねぇ、二度とこの人に手を出さないと誓うなら、助けてあげるわよ?
竹中半兵衛」

「・・仕方ない、ね
この場は一旦引こう
次は君を勧誘しにくるよ」


地面に紅い雫を垂らしながら竹中は去っていった


「おい、
珍しくswitch入ってんじゃねーか」

普段は決して見せない
奈落の闇を身に纏って
ゆらり、と
こちらを振り向いた

「許しませんよ?政宗様
幸村兄様以外に殺されるなんて」

真っ直ぐ向けられた刄は紅く染まり
同じように
身体にも紅が散っていた



何人、
殺してきたのだろう

何度、
身体を紅に染めてきたのだろう


俺の元へ来る前に


「ね、政宗様
 絶対、許しませんからね?」


晴れやかな笑顔に
なんと似合わぬ

屍の数



まずは君に殺されないように
気を付けなきゃね!
2008/08/19 (Tue) 短編 Comment(0)
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